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伊400号 最終回 兵装2(航空機)および作戦 [船舶]

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前回は、兵装の1として魚雷に注目してみてきました。今回は、伊400号の最終回として、その大きな特徴である三機の航空機搭載と実際の作戦について紹介しようと思います。

ねじまき鳥さんが前回コメントしていただいたことを書いていきまーす。

M6A1.jpg

搭載機である晴嵐は下の図のように主翼、水平尾翼ともたたまれ、更に下の写真にある扉から三機格納されます。

549px-Aichi_M6A_Seiran_folded_transport_diagram.svg.png

たぶん格納庫内での作業だと思われますが、エンジンの潤滑油が温められた状態で晴嵐に供給され、すぐにエンジンがある程度の出力を出せる状態になったとされています。

605px-I400Hangar.jpg

T型フォードくらいのクラシックカーになると、このようなやり方をしているという話を聞いたことがありますが、現在の自動車では、エンジンを始動して発進してもある程度の力があり、エンジンが暖まってくると調子が出て来ますよね。
といっても昔ほどの差は感じられなくなっているので、それだけ自動車の製作技術が上がったと言えるのでしょう。

113_0310_08z+1928_ford_model_a+side_view.jpg

ピン1本で固定される主翼の展開を含め、3分目標の実質10分程度で一機発進出来たようです。
発進には伊400号のカタパルト(圧搾空気式)により潜水艦上からの発進となりました。

この晴嵐、2名乗務の急降下爆撃機でした。フロート付で474 km/h フロート投棄後 570km/h (高度不明)
兵装は 機関銃 13.0mm旋回機銃 1基
爆弾 800kg 1発 (250kg爆弾は4発まで) or 45cm魚雷 1発
この装備だけと言うこと、また護衛の戦闘機がいなかったことから、まず目標に到達することが難しく、運良く攻撃に成功したとしても母艦に戻って機体を収納、あるいは乗員のみ救出、という筋書きはうまくいかなかったと思います。
途中で米軍機の戦闘機に落とされるか、母艦まで帰るのを付けられて母艦毎沈められるかのいずれかだったと思います。
であれば、そのまま特攻が前提ではなかったのかと思わせる飛行機です。

ちなみに戦争末期、迎え撃つことになるアメリカの戦闘機は、海軍なら空母から発進するグラマンF6F ヘルキャット 最高速度 611 km/h、陸軍なら陸上から発進するP51D マスタング 最高速度 703 km/hです。
いずれも12.7 mm機関銃を6門装備しています。
大型空母であれば、80機は搭載しています。あまりにも差がありすぎます。
下はF6F ヘルキャット

Hellcats_F6F-3,_May_1943.jpg

下はP51D マスタング

640px-P51-d_mustang_472216_arp.jpg

更に、この晴嵐は開発の途上であり、1944年12月の東海地震、本土空襲により晴嵐の完成が遅れ、伊400号の作戦そのものに大きく影響を及ぼすことになります。
このような遅れを許容したことも戦況の読みが出来ていたのか不思議に思うところです。
やっと、1945年3月に伊400号と晴嵐との共同作戦訓練が終了しましたが、アメリカ西岸(サンフランシスコやロサンゼルス)への攻撃は見送られ、その代わり、西太平洋カロリン諸島東北端、ヤップ島の約100km東北東に位置するウルシー環礁に停泊中の米穀機動隊への攻撃と相成りました。
下は待ち受けていたであろうウルシー環礁に集結したアメリカ機動部隊。

640px-Murderers_row_at_Ulithi_atoll.jpg

その攻撃も、同年8月17日に当該海域で作戦開始という手はずが、皆さんご承知の通り8月15日の終戦により実行されないままとなりました。
この作戦には同型艦の伊401号も参加していましたが、両艦とも米軍によってその技術を調べ上げられた後、標的艦として海の底へ沈められました。
その他の同型艦も実戦に使われることなく、建造中戦争終了(解体)、自沈または標的艦としての運命をたどりました。


伊400号は形、大きさ、航続距離、潜水母艦という思想で他国を圧倒していましたが、実用性、戦略考慮の不足に泣かされた船と言えるでしょう。
技術はあってもそれを生かす能力と戦略(平和な世界でも政策、経済がこれに当たりますよね。)が無い今の日本と全く同じようでなりません。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。


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来たよ 90

コメント 32

kana

昨日の記事、私はとても共感しましたよ。

「技術はあってもそれを生かす能力と戦略が無い今の日本と全く同じ」にも同意です!
by kana (2012-03-13 02:04) 

まほ

↑私もです。
私も出来る限り努力していますので、お腹立ちはごもっともだと思います。
「前年比15%の努力せよなんてふざけるな」って言いましたもの。
両艦、可哀想な運命だったのですね。

by まほ (2012-03-13 02:24) 

FD

P51マスタングは、確か層流翼を最初に採用した飛行機でしたね。


by FD (2012-03-13 09:11) 

rabbit

戦略のない場当たり的な政策(作戦)は悲劇です・・・・
by rabbit (2012-03-13 09:58) 

tsun

作戦実行なら駆逐艦の餌食になっていたかも知れませんね。
地震は東南海地震です。うちの親父は神社で遊んでいて、石灯篭が倒れてきて危なかったと話してました。
by tsun (2012-03-13 12:02) 

くまら

少なくとも、あと1週間戦争が長引かなければ
被害者も減ったと思ってます。
by くまら (2012-03-13 13:22) 

りぼん

nice!&コメント有り難うございました
by りぼん (2012-03-13 15:09) 

ryuyokaonhachioj

チョウは、スジグロシロチョウかな~
何日か後にアップできるでしょうから・・・。
by ryuyokaonhachioj (2012-03-13 16:30) 

mydreamtoday

現在、為替には変動相場制が採用されており、事実上24時間中、世界各国の様々な要因が絡み合い、それが起因して動いていると言えます。
しかし、最終的にたどりつくのは需要と供給、つまりその通貨を買いたい人の数と売りたい人の数で決まってきます。
その国の通貨が欲しいと考える人が増えれば通貨の価値は上がって行きますし、通貨を売りたい人が増えれば価値は下がってきます。
為替が動く理由、まず第一は政局です。
政治や経済によっても為替は左右されます。
例えば、アメリカの政局が悪くなり「この国は将来危険じゃないのか?」となった場合、米ドルを売って手放す人が増えます。
極端な例ですが、もし仮にアメリカがなくなってしまった場合、米ドルという通貨は価値のない紙切れになってしまいます。
経済面でも、為替の影響はあります。
基本的に景気が良くなると利上げ(金利の引き上げ)が行われます。
アメリカの景気が良くなり金利が上がってくると、金利の上がっている米ドルに替えたいと考える人が多くなり、ドル高(円安)になります。
金利が上がればドル預金したくなりますし、FX取引においてもスワップ金利が上昇します。
続いて輸出入の現金決済による需給関係の変動です。
日本の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、アメリカにも車の輸出を行っています。
日本で作った車をアメリカに輸出するわけですが、車と引き換えに得たお金はすべてドル紙幣で支払われます。
トヨタは日本の企業ですので、当然輸出によって得たドル紙幣の利益を日本円に交換します。
この時にドル売り、円買い状態が発生しており、円高要因になるのです。
もちろんトヨタの現金決済だけでは為替に影響を与えることはできませんが、世界中で貿易が行われている現在、それは実需の取引として為替に影響を与える要因の一つとなっています。
また、このように実需に基づいて外為取引をする人々のことを、実需筋と呼び、為替市場に与える影響も大きい存在となっています。
by mydreamtoday (2012-03-13 16:30) 

リキマルコ

気になさらずに自分の気持ち素直に書いてくださいね~^^v
by リキマルコ (2012-03-13 16:43) 

瓶二郎

こんにちは
今日はよい天気でしたね♪
まだ寒い感じはしますが。。。
風邪には気をつけて下さいね!
by 瓶二郎 (2012-03-13 16:59) 

yoko-minato

はじめまして。
私も読んでいて共感しました。
3・11に私も記事が書けませんでした。
by yoko-minato (2012-03-13 17:31) 

カリメロ

こんばんは。昨日の記事、ご尤もです!!
同感!共感しています。
いつも思い、話し合っています。
自分の命は自分で守るしかない!子どもの命もしかりです。
政府が!人が!みんなが!!では無い。
自分で普段から、危機管理能力を身に付け、判断し、生きていくしか無いと思っています。
by カリメロ (2012-03-13 18:10) 

楽しく生きよう

皆さんお立ち寄りいただき更にコメントまで頂きありがとうございます。
私の少し知っている分野で、その後は調べまくって書いている記事ですが、出来るだけ事実だけではなくその背景にあるものを書いていけたらいいなと思っています。
今回取り上げた伊400号は、捕まったときにアメリカ軍が驚いたという資料もあります。こんな巨大潜水艦見た事ねーよ。なんて言ったんでしょうかね。
でもそれはそれ。
とりとめもないブログですがお付き合いいただきありがとうございます。

時折直接叫ぶかもしれませんが。ま、その時はその時と言うことで。
by 楽しく生きよう (2012-03-13 19:27) 

トータン

昨日は驚きました~ やはり考え方がビビットなのですね~ 私も見習わなくては・・・・・神経がドンなのですねそれにドンくさいです私、 一寸もう少し神経を尖らせて世の中を見なくてはならないようで・・・・でも、性格ですから やっぱり無理なのでしょうね~
私など鉄道にもそれほど詳しいものではありません 楽しく生きようさんは 鉄道はおろか このようなことまでお詳しくて驚きです 私にもこれのほんのすこしでもあると良いのですが・・・・・・・(vv
by トータン (2012-03-13 21:24) 

DouxSoleil

前の記事を読ませていただきました。
楽しく生きようさん、とても恐ろしい体験をされたのですね。。
私も、自分に何が出来るのか、改めて、考え直したいと思いました。
正直な思いがとても心に響きました。
こちらも、瓦礫の受け入れ問題で揺れています。
by DouxSoleil (2012-03-13 22:43) 

トゥミ 22020

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